公益財団法人ウッドワン美術館
課題
ウッドワン美術館ではアール・ブリュットの先鋭的な活動で知られる滋賀県やまなみ工房の特別展「みんなの無限大アート山並み工房の宇宙」を2022年7月15日(金)~9月25日(日)の期間で開催するにあたり、マスコミや関係機関に告知を開始するも思うような反応がなく、また、障害児者やその家族との接点もなく、展示会のPRに悩まれていました。
支援内容
マスコミや行政、教育機関、障害児者・家族など、それぞれの立場に立ってこの展示によって得られる利益を考え告知させてもらいました。
施設内の設備につき合理的配慮の視点からアドバイスしました。
1.マスコミ
西日本初の規模での開催であり、展示される作品は国内の有名なミュージシャンのCDジャケットに使用されたり、海外からの展示依頼がある等、世界的にも認められた作品であるということをPRしました。
2.行政・教育機関
やまなみ工房の製作スタイルが、本人主導である事や施設内を利用者が創作するに適した配置にしている事から、学校で障害児に直接関わる特別支援学校の教職員方々に来館し展示を見ていただく事で、学校の授業の中での関わり方や作業環境の整備について知見を深め児童生徒の可能性を広げる効果を得る事が出来ると考え先生方の研修として来館してもらうように、特別支援学校の校長先生にウッドワン美術館の担当者さんと共にチラシを持参し働きかけ、大いに興味を持ってくださり校長先生自ら来館する事を約束してくだしました。また、お持ちしたチラシはその日のうちに全校生徒533名、教職員417名に配布されました。
3.障害児者・家族
障害児者とその家族にとって関心の高い展示であることに合わせ、障害児者とその家族が来館しやすくなる為に入館料が障害児者のみならず介護者1人までを無料とし、また障害を持つ方や小さな子連れのご家族にゆっくり美術鑑賞出来る時間として「ワイワイがやがやデイ」を設けるなど配慮がなされ障害児者が来館しやすい取り組みをされている事をアピールし障害児者の家族が所属する会に告知しました。
4.施設整備
現地に赴き施設内を確認し障害者たところ、施設内に設置されている障害者用トイレまでの動線が狭く、ユニバーサルシートがなくベビーベッドのみだった事から、車椅子を利用するほとんどの障害児者がトイレを使うことが困難と判断しユニバーサルスペースの設置をお願いしてきました。
後日、ユニバーサルスペースを準備し、おむつ替えに使える簡易ベッドの設置もされたと写真を添付して報告いただきました。
美術館隣接のリゾートセンター1F入り口側に配置されたユニバーサルスペースは木材で作られ4㎡のスペースを有し車椅子で中に入り余裕を持っておむつを替える事が出来ます。
合理的配慮がなされ、車椅子を使用する障害児者に安心して来館していただける体制がととのいました。
【対応前】
- 入口から狭い通路を2回曲がってトイレに入らなければならず、車いすでの入室が難しい状態に思われました。
- ベッドが設置されていないため、重い障害を持つ障害児者はオムツの交換ができません。
【対応後】
- スペースの広さは4㎡で、車いすの取り回しにも十分な広さです。
- 折り畳みベッドは、人が乗ると平らになり、安定した状態でご使用いただけます。
- 場所は、美術館隣接のリゾートセンター1F出入口右手に設置されました
- 天井部分が開いている作りとなります。